今回は『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018 』から、「ビタミンD」をとりあげます。

 腎機能の低下と共に、骨の基本的な構成成分であるカルシウム(Ca)とリン(P)ですが、リンは血液中に増え、高リン血症となる一方、カルシウムの腎における活性化が低下し、低カルシウム血症が進行してきます。これまでにも、何度か触れてきた内容ですが、慢性腎臓病(CKD)で生ずるミネラル代謝異常は、骨や副甲状腺の異常を招くだけでなく、血管の石灰化等を介して、生命予後にも多大な影響を与えることが明らかとなり、CKD-Mineral and Bone Disorder:CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)という新しい概念
が登場しました。

 さて、低カルシウム血症が続くと、血液中のカルシウム濃度を改善するために、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が上昇し、二次性副甲状腺機能亢進症となります。本来のPTHの働きは、血液中のカルシウム濃度の低下をモニターする役割でしたが、透析患者さんのように副甲状腺への刺激が長期にわたる場合、刺激によって副甲状腺は腫大し、やがて血液中のカルシウム濃度に関係なく、PTHが過剰に分泌されるようになります。

 そうなると、過剰に分泌されたPTHが骨に作用し、骨から血液中にカルシウムとリンを溶かし出します。進行すると、次のような病態を認めることがあります。まず、骨では、骨密度が低下し、骨がスカスカの線維状になってしまう「線維性骨炎」を発症します。「骨や関節が痛む」、「骨がもろく骨折しやすい」などの症状が現れます。また、これまでに、血管の石灰化について話をしてきましたが、皮膚や眼の結膜にも石灰化が生じて、痒みや充血などの症状が出現することがあります。

 そうしたことから、ガイドラインでは、どのように推奨しているかですが、保存期CKD患者さんにおいては、活性型ビタミンD製剤はPTH値を低下させて、尿蛋白を抑える効果が期待されるため、投与を考慮してもよいが、腎機能予後、骨折、心血管イベント、生命予後への効果はまだ明らかではなく、用量調整によっては、高Ca血症の原因となることがあります。

 そのため、少量から慎重に開始することが望ましく、高Ca血症,腎機能の悪化がみられた場合は速やかに減量・中止することが望ましいとしています。

 そして、知っておいていただきたいのは、ビタミンDを含む食材などは、いろいろとあるのですが、腸管から吸収されたビタミンDは、単独では効果を発揮せず、最終段階で腎臓において活性化を受ける必要があります。そのため、ビタミンDといっても、活性型ビタミンDがCKD患者さんにおいては必要ですの、「活性型ビタミンD製剤」と処方していただく必要があります。