皆さん、一般に、「尿検査」というと、どういうイメージを持たれているでしょうか?多くの場合、健康診断や人間ドックなどでも、実際に行われている「尿検査」は、「定性検査」です。これに反するものとして、「定量検査」がありますが、「定性検査」とは、簡単に言えば、尿試験紙を使っての評価方法です。

 手順としては、カップに採った尿に尿試験紙を浸して、ただちに引き上げます。その後、決められた判定時間ごとに、試験紙の呈色度を色調表と比較し判定します。判定としては、試験紙容器に貼りつけられた色調表と比較することで、ブドウ糖、ビリルビン、ケトン体、比重、潜血、pH、たん白質、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、白血球などの異常を知ることができます。

 ただ、それぞれが、呈色度を指標にしているため、色の濃さによって重症度を判定しています。すなわち、通常の尿検査は定性反応であり、尿中に出ている成分(構成要素)がどの程度あるかを調べる反応です。一方、定量反応は、尿中に出ている成分の量(割合)を具体的に調べるための反応で、尿蛋白定量などで、重症度を詳しく調べることができます。

 その一方で、現時点では機械がヒトの技能に追い付いていない検査、言い換えると、専門医などの経験が直接必要な検査のひとつが尿沈渣検査です。例えば、定性検査で、尿潜血陽性という結果が得られても、実際には尿中に赤血球がない場合もあります。では、どうすればよいか。顕微鏡で尿を直接観察するのが解決策になります。

 例えば、尿沈渣検査の強みは、尿中の赤血球の形状の変化も観察できて、その赤血球の変形の有無によって、出血減が腎臓の糸球体であるのか、非糸球体病変(尿管や膀胱などの下部尿路)によるものかの鑑別ができます。さらには、赤血球の変形の程度によって、糸球体腎炎の病勢や腎炎のタイプを決定する重要なヒントになり、また、治療開始後も改善の程度を詳しく知ることができます。

 それ以外にも、さまざまな種類の円柱であったり、白血球や細菌の種類も顕微鏡の観察によって、リアルタイムに病変の評価ができます。このように、尿沈渣の検査としての意義があります。