< https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32059997/ >
・・・まず、食塩感受性とは。塩分摂取過多になると、血圧が上昇することは、皆さんの承知の通りです。そして、食塩感受性は、この食塩摂取の増加に基づく血圧上昇の「程度」を表すものです。また、高血圧が慢性腎臓病(CKD)において高頻度に合併し、腎機能をさらに悪化させるという負のスパイラルを形成しています。そして、いずれも脳卒中や心疾患発症の原因になることから、この負のスパイラルのコントロールが必要となります。
 そして、この負のスパイラルにおいて、CKDでは塩分貯留傾向となることが知られており、血圧コントロールを難しくしています。すなわち、食塩感受性の亢進の機序に腎 Na 排泄障害が密接に関連していること、さまざまな腎疾患において食塩感受性が亢進していることが報告されてきました。また、食塩感受性が亢進している人の血圧日内変動において、夜間の降圧が障害された Non-dipperタイプを示し、食塩感受性亢進と血圧の夜間降圧障害が密接に関連していることもわかっています。
 その機序としては、CKDにおいて腎機能障害が進行すると、主に濾過機能の低下が原因で、 Na 貯留をきたした結果、食塩感受性が亢進すると考えられています。そのため、CKD において GFR が低下するほど、特に、日中のナトリウム 排泄量が低下し、その分、夜間にナトリウム 排泄量の割合が増し、夜間にトイレに起きることが増えてしまいます。昔から、加齢とともに夜間にトイレに起きることが増えてくるとされていたのは、こういう理由です。
 今回の研究は、こうした変化の詳細の一端を報告したものです。CKDの塩分感受性亢進には、尿細管での塩分再吸収の増加が関わる部位が、尿細管の中でも、遠位尿細管という部位での、ナトリウム-クロライド共輸送体(NCC)という塩分再吸収を増加させる構造体に対して、WNK1-SPAKシグナルという分子の連携が関与していることを発表したものです。まだまだ、腎臓には謎が多く、その一端が解明されつつあります。