これまでも、折に触れて、適正体重から体重が過剰になると腎に対する負担が増すことをお伝えしてきました。多くの場合は、過体重や肥満によって、慢性的には糖尿病、高血圧や脂質異常症の進行が腎障害をまねきます。一方、短期的には、糸球体過剰濾過によって、糸球体に過大な力学的な負担が増すことが中心となって、腎機能低下の原因となります。

 このように肥満は、高血圧、糖代謝異常などの代謝障害を通じて腎障害をきたします。一方、肥満そのも
のが、腎障害をもたらすことが明らかとなってきており、肥満関連腎症or肥満関連糸球体障害(obesity-related glomerulopathy(ORG))という概念があります。

 食生活の変化に伴って高度肥満(BMI>30)を呈する人が増加しています。肥満自体が腎臓に及ぼす影響としては、糸球体濾過量の増加(糸球体過剰濾過)や腎血流の増加などが報告されています。組織学的な変化としては、糸球体の腫大および巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)様の変化を伴う腎障害がみられることが多いという特徴があります。

 この肥満関連糸球体障害という用語は、肥満症例のFSGS様の病理所見から1975 年にCohen博士が最初に用いたものですが、病態としてはそれ以前より報告されていました。それでは、肥満自体が腎臓に与える悪影響として考えられているのは、増加した内臓脂肪の中の脂肪細胞から産生・分泌されるアンジオテンシノーゲンが元となり、レニン・アンジオテンシン系の活性化から糸球体過剰濾過と糸球体高血圧を引き起こして、肥満関連腎臓病へとつながるというものです。

 そうしたことから、ORGの治療の基本は減量です。食事療法及び運動療法によって減量が進むとその程度に応じて、尿蛋白量が減少するとされています。また、腎臓の中でのレニン・アンジオテンシン系が亢進しているので、これを抑制するために、アンジオテンシンII受容体拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬が投与されたりすることもあります。