前回の原因にあったように、微小変化型ネフローゼ症候群は、糸球体基底膜のcharge barrierの障害が原因でした。一方で、糸球体基底膜のsize barrierの障害でみられるタンパク尿は、腎機能低下を伴いやすいのですが、本疾患は、腎機能低下を来しにくいのが特徴です。

 ただ自然に寛解するということはまれであり、薬物治療を行うことが原則です。重要な初期治療は、ステロイドが用いられることが多く、経口でプレドニンなどが使用されます。ただ、ときに尿蛋白量が大量で、血液中のアルブミンが極めて低値となり、循環血液量が減少(ひどい場合はショック)している場合は、ステロイドパルス療法という、よい強力な治療で回復を急ぐこともあります。

 ステロイドは一般的に効果が出やすいのですが、再発しやすいのも、この微小変化型ネフローゼ症候群の特徴であり、頻回再発化やステロイド依存性になることをいかに抑制するかという点が重要です。そのため、寛解導入後も、完全に治療薬をなくさずに、維持療法になるケースも多いのが現実です。

 また、ステロイドの反応が不良であったり、減量の目的で、シクロスポリン、シクロホスファミド、ミゾリビンといった免疫抑制剤が用いられることもあります。多くの場合は、これら薬剤とステロイドの併用治療になります。

 実際の治療では、内服ステロイド薬をプレドニゾロンで0.6~1.2 mg/kg体重程度で治療を開始し、効果が確認されたのち、時間をかけてゆっくりと減量していきます。ステロイド薬の急速な減量は再発を誘発するからです。

 また、ネフローゼ症候群の患者さんは、血液が過凝固状態になっていることが多く、血栓症予防のための薬剤として、ワルファリンなどの抗凝固薬が使用されることもあります。また、ネフローゼ症候群の状態にある場合は、通常、入院で比較的安静を保ちつつ、食事療法を遵守する必要があります。尿蛋白量が多く、浮腫がある間は、減塩と低蛋白食が必要です。