膜性腎症は,免疫複合体が糸球体基底膜(GBM)に沈着し,GBM肥厚を伴う疾患です。原因は、さまざまな疾患に続発する二次性の膜性腎症(約 10~20%)と特発性の膜性腎症とに分類されます。約 80%は原因不明の特発性膜性腎症であり、疾患概念的に、腎特異的な自己免疫性疾患と考えられてきました。

 ところが、近年になって、その原因抗原が、2009年にBeckらによって責任抗原のひとつとして、ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)であることが発見されました。PLA2R抗体は活動型の特発性膜性腎症患者の血中のみに認められることから、PLA2R抗体のモニタリングは診断と治療効果の判定に期待されています。しかしながら、日本人における陽性率は約50%です。

 さらに最近になって、新たな抗原としてトロンボスポンジン1 型ドメイン含有7A(THSD7A)という分子が同定されました。この抗原は、特発性膜性腎症の約10%に認められると報告されており、本邦では、陽性率はあまり高くありません。したがって、まだ未定の原因が残されている次第です。

 また、続発性膜性腎症の原因としては、さまざまな薬物、感染症、自己免疫疾患、癌などがあります。中年以後に発症するネフローゼ症候群のなかでは最も頻度が高い(約30%)ことから、続発性(二次性)に関しては、原因が見つかれば、原因治療による寛解を目指すこともできます。

 症状としては、微小変化型ネフローゼ症候群に比較すると、比較的ゆっくりと発症後進行します。具体的な症状としては、尿タンパクが主体であり、その増悪と共に、浮腫などの、ネフローゼ症候群に共通の症状が認められます