マグネシウムと聞くと、抗便秘薬である酸化マグネシウム(通称:カマグ)を思い浮かべる方がかなり、いらっしゃるものと思います。そして、腎機能低下とともに、血液中のマグネシウム濃度が上昇することから、透析開始によって、それまで使用していても、中止や減量された方も少なからず、いらっしゃると思います。

 しかしながら、最近では、マグネシウムのプラスの要素が見直されるように、なってきています。例えば、マグネシウム欠乏症になると高血圧症、インスリン抵抗性、内皮機能不全をもたらして、心血管イベントのリスクが上昇することがわかってきました。最近の報告では、マグネシウムはリン酸塩誘発血管石灰化を抑制するとされています。その根拠としては、マグネシウムは、リン酸カルシウムの結晶化、カルシプロテイン粒子の成熟を損なわせる効果があるとのこと。

 リン酸塩の負荷が全身の血管の損傷を引き起こすことを考えると、マグネシウムの濃度の高低に関しては、腎不全患者さんでは、合併するミネラル代謝異常として、主にカルシウムとリンの研究が盛んに行われてきたため、マグネシウムの影響の研究は限られていました。大阪大学の報告で、日本透析医学会が所有する維持透析患者さんのレジストリーを解析して、血清マグネシウム濃度の低下が心血管死亡リスク上昇と関連することを示しましています。

 そして、血清マグネシウム濃度高値の透析患者では、血清リン濃度の上昇に伴う心血管死亡リスクの有意な上昇が認められないことも示しています。同様のことは、リンやマグネシウム濃度が上昇しやすくなってきている慢性腎不全患者さんにもいえます。

 今後、マグネシウム剤の適切な使用方法が検討されていくことになると思われますが、一方で、著明な高Mg 血症は、食欲不振、悪心・嘔吐などの消化器症状、不整脈などの症状を発症し、重篤な場合には死亡の原因になることもあり、慎重な検討が必要です。