ループス腎炎の原因というと、ループス腎炎はそもそも全身性エリテマトーデス(SLE)の全身合併症のひとつですので、SLEの原因は何かということになります。しかしながら、SLEの原因もまだよくわかっていません。一つの原因によるものではなく、複数の遺伝的要因が関与していると考えられています。また、疫学的あるいは症状の特徴から、さらに何らかの誘因として、感染症や紫外線への暴露、ある種の薬剤、女性ホルモンの関与が関係するとされています。これらの複合的要因によって、免疫のバランスが崩れることでSLEを発症すると推測されています。

 よく、SLEの患者さんは気候の変動や季節の変化の影響を受けますので、まだまだ同定されていない原因の関与もありそうです。さて、SLEは自己免疫疾患の代表的な疾患です。自己免疫とは、自己の免疫能力が自分の体の一部を攻撃するようになり、全身にさまざまな炎症を引き起こします。そのため、免疫バランスの調整に苦渋することもしばしばです。

 SLEはまた膠原病のひとつとしても知られており、膠原、すなわちコラーゲンに富む自分自身の組織に対して免疫応答を起こしやすくなっています。では、コラーゲンはどこに多いか?一般的には、皮膚がよく知られていますが、血管もコラーゲンで形作られています。そのため、血管の塊ともいえる腎臓が標的になりやすいのです。そのため、腎臓の合併症であるループス腎炎の頻度が高く、また、SLE自体の予後にも関連が深いのです。

 とはいえ、本当の原因・誘因が複雑であるように、ループス腎炎の症状も多彩です。健診でよくみられるような軽度の血尿や蛋白尿から、ネフローゼ症候群、急に腎機能が低下する急速進行性腎炎症候群などの重症なものまで、本当に幅広い所見を呈します。そのため、治療を決めるためにも、腎生検による確定診断と変化の種類を細かく調べることが欠かせません。

 もとのSLEの診断基準のうち、腎臓に関係するものとしては、「蛋白尿 0.5g/日以上または赤血球円柱をきたすなどの円柱尿」とあり、これらに該当していれば、ほとんどが腎生検の適応となります。

 また、腎臓の症状とともに、他の臓器や組織における症状が合併してみられることもあります。全身倦怠感、易疲労感、発熱などの全身症状に加え、皮膚・粘膜症状として、蝶形紅斑や日光過敏、脱毛、筋・関節症状として、筋肉痛、関節痛、神経症状としては、ときに重症な中枢神経症状(CNSループス)、うつ状態、心血管症状としての心外膜炎、肺症状としての、胸膜炎、間質性肺炎、肺高血圧症など、消化器症状としては、腹痛があります。また、比較的頻度が高いものとしては、血液症状としての、溶血性貧血、白血球減少、血小板減少も認められることがあります。

 このように、症状でみても、実に多彩な疾患ですが、どのように診断し、治療を行っていくかについては、決まった方法があります。次回は、それを詳しくみていきましょう