今回からは、ループス腎炎を特集していきたいと思います。これまでの、IgA腎症や微小変化型ネフローゼ症候群と大きく異なる点は、二次性の腎疾患であるという点です。つまり、IgA腎症や微小変化型ネフローゼ症候群は、ほとんどのケースが腎臓から始まる疾患であるのに対し、ループス腎炎は、全身性エリテマトーデス(SLE)の合併症の一つであるという点が特徴です。

 SLEは、systemic lupus erythematosusの頭文字をとって呼ばれています。SLEは、人口10万人に20人前後が発症する疾患で、国の難病指定をうけています。我が国でのSLEの患者数は、約23,000人と推定されています。若い女性(10~40歳代)に多く見られ、全身のさまざまな合併症の中でも、腎臓が標的にされることが多い(約60〜80%)ことが知られています。また、SLE患者さんの予後にも大きく影響を与えることも多くなっています。

 この疾患の特徴としては、若年から成年の女性に多く発症し、なおかつ長期間にわたって治療の継続を必要とするため、その間に、受験や就職、結婚や妊娠、子育てといった重要な社会的イベントを迎えるという点を踏まえ、そのときどきに応じた柔軟な治療計画をたてることが重要となります。

 ループス腎炎以外にも、SLEは、多彩な自己抗体の産生と免疫複合体の全身の結合組識である血管、皮膚、骨、関節などへの沈着による病変を示すことがあります。ちなみにlupus erythematosusとは、皮膚に出来る発疹が、狼に噛まれた痕のような赤い紅斑であることから、こう名付けられました。Lupusはラテン語で狼を意味しています。

 さらに、ループス腎炎自体もさまざまなタイプがあり、経過観察程度ですむものから、たんぱく尿や血尿がみられ、腎機能低下が進行し、末期腎不全に至るものまで様々です。