< https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31206525/ >
・・・血圧、血糖やコレステロール値の管理を目標値に近づけることが可能となり、それらを原因とする動脈硬化の発症・進展は抑制されてきているのですが、まだその効果は十分とは言えず、実際、日本を含む先進国において、いまだ動脈硬化性疾患が死亡原因の上位に位置しています。そのため、動脈硬化の進展には、先ほどのリスクとは異なる「残余リスク」と呼ばれる機序の存在が想定されています。その一つは、これまでにも何度かとりあげてきました、食後の高中性脂肪血症です。

 それ以外にも、「残余リスク」の探索が続けられています。今回、横浜市立大学医学部循環器・腎臓・高血圧内科学の研究グループが発表したのが、腸内細菌に関するものです。動脈硬化モデルとして、最も使用されるApoEノックアウトマウスに対し、高カロリー・高脂肪食を15週間与えた後、新規クロライド・チャネル活性化薬「ルビプロストン」を投与し、動脈硬化の進展の程度を検討しました。

 対象としては、旧来の抗便秘薬(センノシド、マグネシウム)を投与する群を用いています。特徴としては、ルビプロストンは腸上皮に作用する比較的新しい抗便秘薬で、腸管バリア機能の低下を防ぐことが知られています。

  研究グループは、これら薬剤の投与開始後、すでに10週後の時点で、ルビプロストンを投与した群は投与しなかった群に比べて、動脈硬化の進展が約60%有意に抑制されていたことを見出しました。他の2剤では有意な動脈硬化抑制は観察されなかったということです。

  以上より、動脈硬化の進展には、腸内細菌の血中への移行を制御する、腸管粘膜のバリア機能の障害が関係しており、ルビプロストンがその病態を修正し、抗動脈硬化作用を発揮する可能性が明らかになったとしています。今後はヒトを対象にした研究により、動脈硬化の改善効果の確認に進むようです。