近年の腎臓病の多くが、大血管から細小血管にわたる動脈硬化が深く関与していることが明白になってきています。特に、大血管では、以前より、高コレステロール血症の関与が指摘され、画期的な治療薬である、スタチンの使用によって、冠動脈疾患の発症率の低下が証明されてきました。

 このように、大血管障害におけるコレステロール値のコントロールに重要性が広く認知され、コレステロール低下薬スタチンも、メタボの時代において本当に重宝されてきています。さらに、総コレステロール値といった以前の評価系から、いわゆる善玉 highdensity lipoprotein(HDL) と悪玉 low-density lipoprotein(LDL)コレステロールに分けて、リスク評価などを行うことで、よりよく冠動脈イベントを捉えることが一般化してきました。
 これまで、何度も改訂されたガイドラインの中でも、コレステロールの扱いとして、測定項目や測定法に変化が見られてきています、そして最新版であるガイドライン2017年版においても、LDL-Cに関連した内容で重要な変更がなされました。

 変更点としては、多きく2点があげられます。1つ目は、2012年版で登場したnon-HDL-Cですが、2017年版では、「高non-HDLコレステロール血症」という名称が扱われるようになりました。算出法としては、LDL-C+30 mg/dLを用います。すなわち、これまで、「悪玉」といえばLDL-Cであったのが、LDL-C以外にも悪玉が存在し、糖尿病や慢性腎臓病では特に重要であることがわかってきました。

 変更点の2つ目は、2012年版では、LDL-Cの測定法をFriedewald式(F式)に限定されていました。F式の具体的な計算方法は、LDLコレステロール=総コレステロール - HDLコレステロール-トリグリセライド /5 です。ただし、TG値が400mg/dL以上の場合には、この式は使用できません。この頃は、LDL-Cを直接測定することもできていたのですが、正確さに問題がありました。

 今では、さまざまな改良によって、LDL-Cの測定法をFriedewald式と並んで、直接法も表記されるようになりました。しかしながら、高LDL血症のエビデンスの多くは、F式によって算出された結果を基にしていますので、注意が必要です。次回は、具体的な治療目標についてとりあげましょう