腎機能が低下し始めて、腎不全ともなると、多くの方が透析になりたくないという思いが強くなります。何とかして、腎機能の低下を保つための薬剤を求めます。その期待が寄せられている薬剤の一つが、球形吸着炭(クレメジン)です。

 この球形吸着炭の作用機序は、腸内細菌を介して産生される、あるいは腸肝循環により胆汁中に分泌されるなどして消化管内に存在する尿毒素などを吸着して、便に排泄するというものです。尿毒素は通常は、腎臓から尿に排泄されますが、腎機能の低下に伴い尿中排泄量が低下すると血中濃度が上昇してしまい、体内のさまざまな臓器や組織に障害を及ぼします。

 尿毒素の代表的なものとして、インドキシル硫酸という分子が知られています。インドキシル硫酸は、食事由来のトリプトファンから腸内細菌により産生されたインドールが、肝臓で代謝されて血液中に移行したものです。

 動物実験では、インドキシル硫酸は、腎臓の糸球体に障害を与え、腎臓の濾過機能を低下させることが報告されています。腎機能が低下してくると、血液中のインドキシル硫酸濃度がさらに上昇して、腎機能をより低下させるという悪循環に陥ると考えられています。

 クレメジンは、インドキシル硫酸のような尿毒素を低下する作用に期待がもたれていますが、『エビデンスに基づく CKD診療ガイドライン 2018』においては、末期腎不全や死亡の抑制効果は明確ではないとされています。ただ、腎機能の指標の一部を改善する可能性があり、使用を考慮してもよいとされています。