食事療法において、腎機能が低下してくると、タンパク質の制限が必要になることは、広く知られています。もっとも、最近では、このメルマガでもたびたび取り上げていますが、過度の制限はよくないということも、少しずつ認知が広がっているように思います。

 それでも、タンパク質の摂取過多は望ましくなく、実際に腎機能dataやタンパク尿が増加しますので、適切な制限は必要です。ところが、この制限を遵守するほど、鉄の摂取量も低下することは、あまり認識されていません。その証拠に、腎機能低下の患者さんでは、エリスロポエチンの分泌能が低下することによる「腎性貧血」はよく知られているのですが、それに「鉄欠乏性貧血」が合併している場合も多く見られます。

 一般的には、鉄の必要量は1日当たり男性が10mg、女性が12mg(ともに18~69歳。閉経後の女性は10mg、妊婦と授乳中の女性は20mg)とわずかなのですが、なかなか、低タンパクで、鉄を効率よく食事から摂取しようとすると苦労します。鉄は、肉や魚介、野菜など色々な食品に含まれていますが、その含有量は少ないものが多くて、吸収率も決して高くありません。

 そのため、慢性的に鉄不足になるような方は、安全策としては、鉄剤(いろいろなタイプがあります)を適量使用する方が、貧血の程度も安定しますので、長い目でみると、こちらの方が得策と考えられています。ただし、このように鉄を補充しても貧血が改善しない場合、エリスロポエチン抵抗性貧血として、これまでも、さまざま要因がしられており、その精査が必要です。

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