前回に引き続き、水分摂取の大切さに関するテーマです。不感蒸泄、文字通り、感じないうちに体から抜け出ていく水分のことをいいます。具体的には、発汗以外の皮膚および呼気からの水分喪失をさします。この不感蒸泄の量は、条件により大きく変動しますが、常温で、安静にしていれば、健常成人で1日に約900ml(皮膚から約600ml,呼気による喪失分が約300ml)程度とされています。
 この水分量は、固定したものではなく、発熱、熱傷、過換気状態などで増加します。さらに、重要なのは、エアコンの効いた室内や、乾燥した冬場のように汗をかかない状況でも、着実に体から水分が失われているということです。夏場は、汗や熱中症のニュースなどで、飲水が大切という意識も高いのですが、冬場は、そういう意識が低くなりがちで、冬に起こる脱水症状を「かくれ脱水」とも言われます。
 水分補給の大切さは、昨今では特に夏が近づくと「熱中症対策」として注意喚起がなされるようになってきました。特に、今年はマスクの影響や自宅で過ごす時間が長くなったりということが、これまでとは違った要素になってきています。
 特に、高齢者の方々にとっては、さらに注意が必要であることは明らかで、加齢とともに主に以下の3つの変化がおこります。
・水分を蓄えるための筋肉が減少し、体内の水分量が少なくなる。
・腎臓の機能が低下し、老廃物を出すためたくさんの尿が必要となる。
・体のセンサーの感度が低下し、のどの渇きも感じにくくなるため、水分が必要でも本人が気付きにくい。
 さらに、これから本格的に暑くなると発汗の程度も考慮する必要があり、不感蒸泄に加えて水分が喪失されているのだという意識を常にもつようにしていただきたいと思います。