これまでにも述べてきましたが、昔は「予後がよい」とされていましたが、1990年代になり「20年で40%前後が腎不全に至る」ことが報告されました。IgA腎症は、1968年に発見された比較的歴史の浅い疾患であるため、当初は長期的な経過が十分にわかっていなかったことが関連していました。

 徐々に、治療への反応性や長期の経過が明らかになるにつれて、降圧薬(特にレニンアンギオテンシン系阻害薬)やステロイドの使用によって、徐々に予後が改善しているとの報告があります。それでは、予後に関係するものは何か。IgA腎症は、腎生検によって確定診断がなされますが、その結果によって、腎臓の予後が予測されるようになってきました。

 腎生検によって、腎臓の組織がどのような、そしてどの程度の障害が進んでいるかによって、治療方針が決まると同時に、その後の腎機能の推移が予測されます。さらには、腎生検を受けた時点での、高血圧、腎機能低下、蛋白尿、年齢などの要素が予後に影響することが知られています。

 腎臓の中の硬化・線維化などといった変化は基本的に治ることがありません。そのため、治療方針を決めるにも、治療の効果や反応性を考えて、最善の方法が選択されるようになります。そして、これまでは、治療開始後の経過によって、治療内容を変更する必要性がありました。

 しかし、前回とりあげました、扁桃摘出+ステロイドパルス併用療法などによって、早期の段階であれば寛解・治癒が得られることが広く知られるようになり、これまでと比較すると全体的な予後は改善すると考えられます。しかしながら、この有効な治療法も、腎臓の障害がある程度以上、進行してしまっていると、寛解や治癒を得ることは困難となります。そのためにも、IgA腎症の場合は、軽度の尿検査異常を放置しないことが極めて重要です。