第1, 2回で「IgA腎症」がどのように発症して、体内でどのような流れで腎臓に炎症をもたらすのかを、かなり詳しく見て頂きました。今回は、特に治療が必要なケースはどのような場合か、治療を開始するには、通常は腎生検によるIgA腎症との確定診断が必要です。

 臨床的には、IgA腎症を含む「糸球体腎炎」の考え方、イメージです。よく、患者さんにもお伝えするのですが、腎炎の起こりは、前回、お話したIgAを含む免疫複合が、腎臓に沈着して炎症をまねきます。特に、メサンギウム領域に多いのですが、これは、糸球体の毛細血管を束ねている位置にあります。また、一部は、糸球体血管に直接に炎症をもたらす場合もあります。

 いずれの場合も、最初の変化は「血尿」です、自分で気が付く「肉眼的血尿」もありますが、おおくは、健診で発見される「顕微鏡的血尿」と呼ばれる「尿潜血」です。ですので、慢性化しない早期に治療をするためには、やはり学校健診をはじめとする定期的な尿検査がとても重要です。一般的に多い、尿潜血の場合は、治療せずにいると、徐々に進行して、タンパク尿もみられるようになります。

 こうなると腎機能低下が進行するサインが現れたととらえて、尿蛋白量の精確な定量と、それによって、利用法がわかれてきますので、ステロイドなどを使用する必要性が考えられた場合は、治療前に、確定診断のため、腎生検が行われます。

 また、尿蛋白発現以前でも、尿中の赤血球の数や変形の程度によっては、治療を急ぐ場合もあります。ですから、健診で尿潜血が続いて陽性と判定された場合は、その程度を専門医でみてもらうのが望ましいといえます。もちろん、尿潜血陽性となる他の疾患もいろいろありますので、放置だけが問題となります。
 
 この糸球体に沈着するIgAを詳しく調べると、異常なIgA(糖鎖異常IgAといいます)があることがわかってきました。また、血液の中にもこの糖鎖異常IgAが増えていることがわかってきました。この血液中の異常なIgAが、複合体を作ったり、他の分子と結合したりする(凝集)ことで、糸球体に沈着した後、炎症を引き起こします。

 さきほど、尿検査の程度によって、治療がわかれてくるとお話しました。次号では、治療を中心に進めていきたいと思います。