今回は『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013年版 』から、「高トリグリセライド(中性脂肪)血症」をとりあげます。

 前回は、Q&Aで、2つとも中性脂肪に関する、深い質問をいただきました。現代の腎臓病は、加齢と動脈硬化が主体となり、腎機能低下の原因となっています。動脈硬化の原因は、メタボ・肥満と関連が深い生活習慣病全般が含まれます。そして、従来は、糖尿病と高コレステロール血症が、大血管の動脈硬化の強力な原因であり、心筋梗塞や脳梗塞が多く、腎臓にもその影響がみられていました。

 しかし、近年、糖尿病および高コレステロール血症に対しては、新たな薬が次々と登場し、その効果も強力であることから、最近では、残余リスクとして、それ以外の生活習慣病が、いまだコントロールが十分になされていないという理解が、世界的に認められています。

 さて、ガイドラインでは、どのように扱っているかですが、まずは、食事が大切であることは、他の生活習慣病と同様で、高TG血症に関しては、 糖質を多く含む菓子類、飲料、穀類の摂取を減らす。アルコールの摂取を控える。n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類の摂取を増やす、というものです。これまでにも、述べてきたように、増悪因子は3つの「あ」、すなわち、甘いもの、アルコール、油濃い食事に要注意ということです。

甘いもの

 コレステロールは1日のうち、ほとんど変化しませんが、中性脂肪は食後3~6時間かけて上昇します。そのため、食後の高TG血症が問題となるのです。さきほどの、原因を見て頂くとわかる通り、糖尿病の原因と食事は、かなりオーバーラップしています。

 空腹時のTG値は、ひとつのマーカーとしては心血管のリスクとの相関は存在するものの、原発性高カイロミクロン血症やリポ蛋白リパーゼ欠損症というやや特殊な脂質異常症の場合は、空腹時TG値は著明に上昇しており、リスク評価マーカーとしては不十分であり、その背景にあるリポ蛋白代謝異常を適切に評価することが重要であることは、以前から指摘されています。

 一方、以前から食後TG値が高い症例では心血管疾患の発症が多く、逆に心血管疾患症例で食後TG値の上昇が多く認められることも知られていました。その後、国内外で同じく、高TG血症がリスクであることを示してきています。中でも、ヨーロッパ動脈硬化学会およびヨーロッパ臨床検査医学会は共同で脂質プロファイルの評価に食後検体を日常的に用いても構わないとするステートメントを発表しています。

 具体的には、日常診療における有用性・便宜性を考え、ステートメントでは空腹時TG値の基準値である150 mg/dlから約25 mg/dl高い175 mg/dlを食後TG値の基準値上限値に設定しています。日本人の食事環境や脂質異常の傾向が、全くそのまま同じとはいえず、本邦の基準を確定するためには、多数例を用いた前向き研究の実施が必要ですが、食後TG血症が、腎を含む大血管のリスクとしては、国内外とも示されていますので、現時点での一つの目安になると思います。