漢方薬は、西洋薬に比較して安全というイメージをもたれて、漢方薬を好まれる患者さんも少なくありません。しかしながら、不用意に使用すると副作用が生じることも少なくありません。ドラッグストアで入手可能なものも多いので、注意が必要です。

 一方で、高齢者においても、適切な使用によって効果が期待できる漢方薬も少なくありません。今回は、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を参照し、特に、有益な漢方薬を紹介したいと思います。ここでは、科学的根拠に基づいており、1500 年以上前から脈々と受け継がれてきた中国を起源とする漢方薬がこれまで経験医学と言われていたところから、診療において根拠に基づいた使用ができるようになってきています。

 具体的には、英文誌「Geriatrics & Gerontology International」にも、同様の内容が掲載されていますが、
2013年末までの英文誌・和文誌などから、後期高齢者や虚弱な高齢者に用いる漢方薬に関する64の論文を抽出し、評価した結果、「高齢者に有用性が示唆される我が国の医療用漢方製剤のリスト」「高齢者に漢方を使用する際注意を払うべき含有生薬のリスト」が作成されました。

 有用性が示唆される漢方薬のリストに揚げられているのは、(1)認知症の行動・心理症状に対する「抑肝散」、(2)誤嚥性肺炎の既往患者に対する「半夏厚朴湯」、(3)脳卒中後遺症の機能性便秘に対する「大建中湯」、(4)便秘に対する「麻子仁丸」、(5)慢性閉塞性肺疾患に対する「補中益気湯」などです。

 一方、注意を払うべき含有生薬のリストでは(1)甘草、(2)麻黄、(3)附子、(4)黄?、(5)山梔子の5つが示されています。さまざまな生薬の組み合わせで、漢方薬は構成されていますので、慎重に病態に合ったものを選択することがなにより重要です。