< https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=31266820 >
・・・巣状糸球体硬化症(Focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)は、ネフローゼ症候群の一因ともなり得、腎不全や透析の原因ともなる。それは、多くがステロイド治療に抵抗性を示します。このたび、京都大学はこのFSGSの発症メカニズムを分子および細胞レベルで解明したと発表しました。

 FSGSは、腎臓の機能不全を引き起こすメカニズムに関しては、15年ほど前に、家族性FSGSの遺伝学的解析から、カルシウムチャネルの1つであるTRPC6チャネルの変異がこの病変に関連していることが報告されて以来、30種類近くのTRPC6変異体が世界中のさまざまな地域に住む患者から見つかってきました。しかし、変異が生じると何が起きて、何が問題になるのか、詳細は不明のままでした。

 TRPC6はCa2+(カルシウムイオン)を細胞内に透過する膜タンパク質の1つであり、細胞内のCa2+依存的に不活性化する、Ca2+-dependent inactivation(CDI)と呼ばれる自己抑制的(ブレーキ)機構を保持しています。このたび、研究グループは、このCDI機構がどのようにして起こるのかを明らかにしました。

 今回は、5種類のTRPC6変異体を確認したところ、全てのFSGS型において顕著なCDIの遅延を認めました。さらに、これらの変異体をポドサイト(糸球体上皮細胞)に発現させたところ、細胞骨格(アクチンフィラメント)において病態様構造変化が引き起こされることを確認しました。これはCDIの破綻がFSGSの原因になることを初めて分子、細胞レベルで示した結果です。