< https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=31723053 >
・・・メルマガのvol.12, 13の「腎不全・透析にならないためのヒント」のコーナーで取り上げましたように、腎保護の観点から、高尿酸血症のコントロールはとても大切です。なぜかというと、痛風のようなはっきりした症状の原因にもなるのですが、尿酸が高いと、CKD以外に、肥満、高血圧、高脂血症、心血管障害、脳血管障害が多いことが知られています。

 これまで折に触れて、述べてきましたように、「尿酸」を尿にうまく捨てるには、水分をしっかりと摂取することが、まずは求められます。それでも、なかなか血中の尿酸値が低下しにくい場合や、腎機能が低下すると、尿酸の排泄能も低下することから、これらの場合は、高尿酸血症治療薬が用いられます。長らく、ザイロリックが用いられてきましたが、腎機能が低下すると減量の必要があり、副作用もみられやすいという問題がありました。

 現在は、それからすると、選択肢が増え、つい先日も、さらに新たな治療薬が登場したとのニュースがありました。今回のレポートでは、ザイロリックの代わりとして、現在、よく用いられているフェブリク(一般名:フェブキソスタット)に関するものです。

 慶應義塾大学から発表されたもので、マウスを用いた実験によって、フェブキソスタットが、腎障害の進行を抑えることを示しました。腎臓は常に、細胞のエネルギー源とも言えるATP(アデノシン三リン酸、adenosine triphosphate)を用いて、体に必要な電解質や水分を尿から再吸収することで、体内環境を一定に保つ、恒常性維持の役割を果たしています。今回、研究グループは、腎動脈をクリッピングすることで、腎血流を遮断したマウスにおいて、腎臓におけるATPなどの分布を解析しました。

 結果は、腎皮質のATPは10分間の短い虚血で80%も減少して腎機能が低下し、さらに血流を再開させた24時間後も、このATP減少は継続しており、元のレベルには回復しませんでした。そこで研究グループは、血流不足によるATP低下が、フェブキソスタットによって緩和される可能性を試しました。腎動脈のクリッピングで10分間の腎臓の血流を遮断したマウスに、フェブキソスタットを投与して、腎機能に与える効果を検討しました。

 血流再開後にフェブキソスタットを持続投与すると、腎皮質のATPが増加しており、ATPの再合成の作用と考えられています。さらに、腎尿細管細胞を用いた検討でも、フェブキソスタットによるATP回復の促進作用が確認されました。次はヒトにおいても有効かどうかです。ヒトの場合、マウスのようなケースは、一部なので、通常の服用によっても、有益な効果に期待が集まっています。