これまで、慢性腎臓病の治療は、腎臓に負担をかけないように、食事制限とともに、運動制限による安静が推奨されていました。しかし近年になって、むしろ積極的に運動を行う「腎臓リハビリテーション」という概念が登場してきました。

 腎臓リハビリという概念は1994年に米国で始まり、国内では2010年頃から広がりを見せています。2011年1月には、日本腎臓リハビリテーション学会が発足し、効果を検証する研究を行いながら、指針作成や保険適用を目指しています。また、2018年には、腎臓リハビリテーションガイドラインが作成されました。

 骨・筋肉の障害や脳血管疾患、呼吸器疾患や心大血管疾患のリハビリテーションは、すでに知られていますが、近年は、腎臓に対するリハビリテーション(腎臓リハビリ)が注目を集めています。旧来は、腎臓病の患者さんは、運動することを制限されるのが一般的でした。運動をすると、腎臓に負担がかかると考えられてきたためです。しかし最近の研究から、適度な運動は腎臓の血管を広げて、腎臓への負担を軽減する可能性があることがわかってきました。

 さらに、研究面でも、その根拠が明らかになりつつあります。「筋腎連関」という考え方です。テレビなどでも、臓器同士のつながりについて報道される機会も増えてきています。「心腎連関」という考え方は、かなり定着してきています。そして、筋肉と腎臓の間にも連関があることが、徐々にわかってきています。腎機能が低下すると、骨量だけでなく筋肉量が減ることが知られています。筋肉からは、さまざまなmyokine(マイオカイン)というサイトカインが分泌されています。この中には、腎保護作用を有するものが、動物実験で報告されています。今後の研究で、詳細なメカニズムが明らかになるかもしれません。すでに、透析患者さんに対しても、腎臓リハビリを取り入れている施設があります。

 ただ、問題は、どのような運動をどの程度行えばよいかです。これは、腎機能や合併症などにより、個々に望ましい目標が異なってきます。そこで、あらかじめ、かかりつけの医師などに相談してから運動を開始してください。一般的には、血圧高値、糖尿病性網膜症、心不全などがあれば、より慎重さを求められます。