『CKD診療ガイドライン 2018』から、今回は「疼痛に対する薬物選択」をとりあげます。

 頭痛や関節の痛みに対して、今はさまざまな種類の鎮痛薬が存在します。しかし、腎臓病の方は、その選択に注意が必要です。なぜなら、その使用によって、腎機能がさらに低下する場合があるからです。ひどい場合は、あっという間に腎機能が低下してしまう場合もあります。

 一般的には、NSAIDとアセトアミノフェンの2種類が、疼痛に対して用いられる頻度が高くなっています。NSAIDsとはNon-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略で、非ステロイド性抗炎症薬と訳されます。作用の機序は、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の働きを阻害することで、痛みの元となるプロスタグランジン類の合成を抑制しています。NSAIDは、このプロスタグランジン類の中でも、特にプロスタグランジンE2(PGE2)の合成抑制に効いています。

 ところが、PGE2合成が抑制されると、腎血流量が減少し、尿量が少なくなり、急性腎障害という急激に腎機能が低下することが起こりやすくなります。ボルタレンやロキソニンなどをはじめとするNSAIDsの使用に注意が必要なのは、こうした理由によるものです。

 その一方で、商品名としてカロナールなどとされているアセトアミノフェンは鎮痛・解熱作用を有していて、NSAIDsと同様にCOXを阻害するのですが、その作用は弱くて、抗炎症作用はほとんどありません。そのため、NSAIDsに比べると、アセトアミノフェンは安全な可能性があります。ただし、長期使用に関しては、正確な情報がなく、注意が必要です。またアセトアミノフェンとアスピリンの長期連日服用は鎮痛薬腎症の原因になりうることも報告があり、注意しましょう。