< 日本糖尿病学会の機関誌「糖尿病」62巻6号 >
・・・近年、糖尿病治療に関しては、非常に優れた治療薬が次々と、登場し、実際に血糖コントロールのレベルは、年々向上してきています。その結果、かつて恐れられていた、糖尿病三大合併症は、その発症を遅らせることができるようになりつつあります。特に、三大合併症の最後のやってくる糖尿病性腎症は、その典型的なケースを診ることが、かなり減ってきています。

 それでは、腎臓病は減っているかというと、決してそのようなことはありません。典型的な、糖尿病性腎症が減ってきたかわりに、糖尿病を有した腎臓病、すなわち「糖尿病性腎臓病」(DKD)という概念が、世界的に登場してきました。つまり、そうした患者数が明らかに増えてきていることを示しています。

 今回の報告は、公立豊岡病院が兵庫県豊岡市の特定健診データを解析した研究で、血糖コントロールの治療を受けていない、HbA1c 8%以上の糖尿病の人では、腎機能低下が進行し、腎機能障害を有する比率が4年後には8倍に上昇することを示しています。

 最近、非常に用いられることの多いSGLT2阻害薬を適切に使用すると、HbA1cを低下させるだけでなく、体重減量、血圧低下、中性脂肪の低下、尿酸値の低下、尿タンパクの低下など、一見、糖尿病と関係なさそうな項目も改善を図ることが可能です。言い換えると、糖尿病を有する患者さんは、血糖値以外にも、さまざま他の危険因子の増悪を招いていることを示していると考えられます。
 
 今回の研究のおいても、4年間の特定健診受診者(40~74歳)を対象とし、腎機能低下と関連する因子には、血圧、血糖、肥満(メタボリック症候群)、喫煙、身体活動、タンパク尿などがあげられることを明らかにしている。