【Q】
 こんにちは。イギリスに在住の日本人です。
 イギリス人のパートナー(60歳)のことでお尋ねします。
 先週、足のむくみが取れず(押しても戻らない感じ)背中の痛みもあり、病院で血液検査をしたところ、血糖値がかなり高いということで、即入院で尿検査、心電図などの検査をしたところ、糖尿病腎症と診断されました。ステージ4ということでした。
 透析をするか、しないか、ということで数日の入院中に結果を待っていましたが、腎臓はまだ動いている(?)ということで、一度帰宅していいことになり、現在自宅療養しております。10日後には腎臓の専門ドクターに会うということです。
長年、肥満体型でもあり心配していたけれど、忙しいことを理由に検査などをしていませんでした。
 質問をしたいことは、ステージ4の段階ですと、完治は出来ないということ。透析になるまでどのくらい状態を抑えることが出来るのか。
 現在、入院から帰ってきて、糖尿病ということは分かったので、インシュリンを1日1回注射しています。

 その他に、血圧を下げる薬を3種。
・DOXAZOSIN TABLET 1mg (1日1粒)
・AMLODIPINE TABLET 5mg(1日1粒)
・RAMIPRIL CAPSULE 5mg(1日1粒)

 それから、カルシウムと骨の関係の薬(?)
・ALFACALCIDOL CAPSULE 0.25mg (1日1粒)

それから、ゲップなどの酸を抑えるための薬(?)
・SODIUM BICARBONATE CAPSULE 500mg (1粒1日3回)

 現在、食事療法も私がインターネットで分かる限りで調べて作って食べています。
ただ、体はだるく、大きな運動をした後のような筋肉の痛み、目がしょぼしょぼとして焦点が合わずコンピューターなどのスクリーンもとても読みにくい、などの症状があります。
1年前くらいから、最初は首の周りに痒みが出て、(その頃から腎臓疾患を疑っていたので、病院に行かなかったことが悔やまれています)その後は手や足に、急に痒みがでる毎日が続いており、その痒みは少し今は収まっているということですが、その痒みもあります。
 もともと喘息持ちということもあり、運動は全くしません。
現在のこんな状況ですと、透析をする日も間近なのではないかと思ってしまいます。
透析の他に、移植の道もあるとインターネットでみましたが、私(50歳)の腎臓を移植ということは可能でしょうか。糖尿病腎症でも移植は可能か、日本人と英国人と人種の違いでも可能か、などもお答えいただけたらありがたいです。腎臓に関しては、数値が何の数値を表しているか分からないのですが、通常ですと90のところが、彼の場合は14だった、ということでした。
 このような情報から、私の質問に専門家の先生から少しでも答えをいただけましたらと思い、メールを書いております。
 お返事をお待ちしております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【A】
 こうしたケースは日本でも、比較的多く見られます。糖尿病のコントロールが不良で、血糖値が高く、浮腫みが強いということから、尿タンパク量も多いであろうことが予想されます。一番の問題は、この尿タンパクが本当に糖尿病の合併症である糖尿病性腎症によるものかどうかです。
 中には、糖尿病はあるものの、尿タンパクが別の原因で生じている場合も、珍しくはありません。ここで、重要になるのが、糖尿病歴が長いかどうか、と糖尿病性網膜症と言われているかどうかです。糖尿病歴が短かったり(5年程度とか)、網膜症が眼科でみてもらったがなかった、となると、尿タンパクが糖尿病以外の原因で生じている可能性が高くなります。そして、その多くは治療法が存在し、尿タンパクを減少させることができ、そうなると浮腫みは、自然と改善し、尿もしっかり出るようになります。
 当然、腎機能も改善することが多いです。記していただいた、90と14というのは、単位がないので、精確にはわかりませんが、おそらく、GFRの数値ではないかと思います。GFRだとすると、100点満点のうち、今は、14ということで、目安としては、透析の準備が必要な段階です。この段階では、血液が普通のアルカリから酸性に傾いてきて、アシドーシスという状態になるため、SODIUM BICARBONATEを投与されているのだと思います。ALFACALCIDOLも、ビタミンDですので、今の腎機能からすると、通常用いられる薬剤です。
 少し整理して考えますと、本当の糖尿病性腎症であるかどうか。そして、そうでなければ、そちらの治療です。また、本当の糖尿病性腎症ですと、体液管理が可能かどうかと尿タンパク量の程度です。食事療法と利尿剤と降圧薬をうまく使うことで、ゆっくり体重を減らし、適度に飲水ができれば、何年も透析にならずに経過を見ていけるケースもあります。ただ、尿タンパク量次第というところはあります。ここで、用いる薬剤としては、日本では、Tolvaptanという利尿薬を他の利尿薬とうまく併用すると、安定することが多くみられます。
 以上のような、確認や治療を施しても、腎機能の数値が低下してくると、いよいよ透析が必要になります。特に、糖尿病歴が長いようでしたら、心機能が低下している可能性が高いので、他の腎臓病よりも透析の導入が早くなりがちです。
 移植は、一定の事前検査が必要ですが、いただきました条件からすると可能と考えます。ただ、今の状況でしたら、血糖や浮腫の管理を含め、いったんは、透析療法によって、全身状態を安定させてからになろうかと思います。