今回は、「やさしいガイドライン読み解き」でも取り上げた、拡張期血圧(DBP)をさらに詳しく知っていただくために、ここでも取り上げたいと思います。ついつい、血圧というと「上の血圧」である、収縮期血圧(SBP)に目が行くのですが、拡張期の血圧も大切という話です。

 かつては、高血圧の指標としては、常に血管壁への圧力となるDBPのほうがSBPよりも重視されており、1980年代までは大規模臨床試験における血圧評価や降圧目標にはDBPの値が中心に用いられていました。その後、1990年代になると高齢者の割合が増加したこともあり、心血管病リスクへの影響はSBPのほうが大きいことが示され、SBPを重視して血圧評価や降圧目標の設定が行われるようになってきていました。

 加齢によって、大動脈のコンプライアンス(弾性)が低下します。つまり血管が硬くなることによって、SBPが上昇するとともに、心臓の収縮期の血流が増加する一方で、拡張期にはDBPが低下して、血流量が減少します。そのため、SBPは加齢に伴い徐々に上昇を続けていきますが、DBPは50歳以降で上昇から減少に転じるケースが増えてきます。

 このように、加齢によって、SBPが上昇せずにDBPだけが上昇することは起こりにくくなります。したがって、(孤立性)拡張期高血圧(isolated diastolic hypertension:IDH)は若・中年者に多いもの、逆に(孤立性)収縮期高血圧(ISH)は高齢者に多く認められもの、ということができます。なお、高齢者において、DBPが高い場合には、腎血管性高血圧など二次性高血圧の可能性を考えることとなります。