いろいろな場合に、造影剤を用いた検査を受ける機会があるかもしれません。まず、「造影剤腎症」という言葉を聞かれたことが、ありますでしょうか。ヨード造影剤の投与後に、72 時間以内に血清クレアチニン(SCr)値が、投与前の値より0.5 mg/dL 以上または25%以上増加すると造影剤腎症と診断することになっています。

 一般的に腎機能低下は可逆的で、SCr値は3~5日後にピークに達した後、7~14日後には、検査の前の値に戻ります。しかし、症例によっては、腎機能低下が進行し、血液透析が必要となる場合もあります。この造影剤腎症の発症のリスクは腎機能低下に応じて高くなります。そのため、必ず、造影検査前には、できるだけ直近のSCr値を用いて腎機能を評価することが重要です。

 ヨード造影剤によって生じる造影剤腎症は、急性尿細管壊死と呼ばれる変化で、糸球体よりも尿細管が標的となります。さきほどの腎機能低下以外にも、危険因子としては、高齢、糖尿病、心不全、多発性骨髄腫、肝不全や、腎血流量を減少させる因子(体液量減少、NSAID、利尿薬、ACE阻害薬、腎毒性薬剤の使用)、また、高用量(100mL超など)の高浸透圧造影剤(経皮的冠動脈インターベンション時など)などがあげられます。

 しかしながら、造影剤自体も進化しており、リスクが低いものが登場してきています。これらは非イオン性であり、浸透圧は従来の造影剤(浸透圧約1400~1800mOsm/kg)と比較しても低くなっています。例えば、第二世代の低浸透圧造影剤(イオヘキソール,イオパミドール,イオキサグル酸など)は、浸透圧が約500~850mOsm/kgとなっています。それでも、血液の浸透圧よりも依然として高くなっています。

 最新の等浸透圧造影剤は、例えば最初に登場した薬剤であるイオジキサノールは、浸透圧が290mOsm/kgであり、血液とほぼ等しくなっており、先に挙げた危険因子を有する患者さんでは、造影剤は、こうした最も浸透圧の低い非イオン性造影剤を低用量で使用したりします。ただ、造影剤を使う目的によって、投与量を含め、条件は変わってきます。

 また、造影剤腎症のよぼうには、現在は、等張食塩水(浸透圧:154mEq/L)による軽度の体液量増加が理想的とされており、造影剤投与の6~12時間前から少しずつ投与を開始して、撮影後も6~12時間にわたり継続するのが望ましいとされています。細かな条件は、危険因子の程度や、検査時の条件などによって変わってきます。例えば、心不全の患者さんでは、塩分を多く含む等張食塩水は、回避しなければなりません。