【Q】
専門医受診をすすめた方がいいのでしょうか?
 60歳台後半女性、遺伝:母親、弟が心筋梗塞、既往歴:甲状腺機能低下症、 心房細動(10年前)、狭心症(1年前)、服薬状況として、ワーファリン、ワソラン、シグマート、コニール、チラージン。
身体状況:身長155.5cm、52kg、AST 31、ALT18、γ―GT11、血圧120/70、UA3.8、HbA1c5.5%、LDL140、クレアチン0.78、eGFR56.3、尿検査定性:尿蛋白(+)、尿潜血(+)、尿検査定量/Cre 0.19/gCr
という場合、CKD重症度分類では、専門医紹介基準に該当する方ですが、かかりつけ医からは、経過観察でとの意見だったので、そのまま経過観察でいいのでしょうか?
よろしくお願いいたします。(個人情報保護の観点から、年齢・病歴は改変しています)

【A】
尿タンパクは定量でみると正常範囲を超えています。それ以上に、最近に、狭心症がみられ、また、家族歴においても、心筋梗塞があることから、腎を含めた、心血管イベントのハイリスク群という捉え方が必要です。まず、確認をしたいのが、狭心症の原因です。
 糖尿病がないとすると、次に考えられるのが脂質異常症です。血圧はコニール服用にてコントロールがついている状況です。中性脂肪の値はわかりませんが、CKD患者さんでは、LDL-cho以外にも、いわゆる「悪玉コレステロール」が増加している場合が多いため、non-HDL choの値を知りたいところです。
 高齢女性、家族歴、高血圧、脂質異常症が動脈硬化の主要な原因であり、そこに甲状腺機能低下症があると、糸球体のろ過量が低下することが考えられます。狭心症ということから、動脈硬化のうちでも、大血管障害が既に発症しており、腎においては腎動脈レベルの硬化が心配になります。
 腎動脈が硬化し、内腔が狭くなると、腎臓全体の血流が低下して、「虚血性腎症」というかたちで、腎機能低下が進行しているケースは多くみられます。中等度までは、尿所見に異常がありませんから、尿タンパクが少しでも異常値を示していれば、虚血の影響がかなり進展している恐れがあります。
 この「虚血性腎症」は、腎臓のエコーで比較的簡易に評価が可能です。あとは、その程度によって、食事療法の有無を判断することとなりますので、一度は、専門医の受診がすすめられます。そして、このケースですと、non-HDL choを確認した上で、進展予防の観点から、おそらく薬物療法が必要になるものと考えられます。