このたび、「慢性便秘症診療ガイドライン 2017」が発行されています。本邦初めてのガイドラインです。ドクターに言いだしにくいといったようなこともあり、患者さん自身で苦労されていることも、多いかと思います。私の外来では、便秘が腎機能に影響を及ぼしている場合は、もちろん、できるだけ便通に関して、お尋ねするようにしています。それだけ、便秘・便通がもたらす影響が、それだけ大きいということが言えます。

 この数年で、数種類の新たな抗便秘薬が登場してきました。来の典型的な糖尿病性腎症の患者さんを診る機会がかなり減り、代わりに高血圧や加齢を原因とする腎硬化症の患者さんが、大半を占めるようになってきました。糖尿病を合併していると、糖尿病性腎臓病を呼ばれるようになってきています。

 まず、便秘の定義は、排便習慣の個人さんが大きいため、「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とされてきました。十分量排出できているかは、個人でも把握しにくいと思います、今は「快適に」というのが、キーワードと考えます。今回のガイドラインにおいては、これまで多用されてきたプルゼニド・センノサイド・センナなどの刺激剤はあまり好ましくないとされています。

 これまでは、便が出るか、出ないかで、薬の使い方を個人で調整されていた方も多いとおもいます。出ていても、コロコロ便だったり、血圧が上昇するほど、いきんで、排便に時間が相当かかる人も多いようです。しかしながら、尿毒素が便中に排泄される部分も無視できないこと、カリウムやリンの吸着材の副作用で、一般の方よりも便秘になりがちですが、腎保護の観点からも便秘の解消がのぞまれます。

 では、便秘治療の目安はどこかということですが、「ブリストル便形状スケール」というのを一度、インターネットなどで、ご覧ください。大まかには、子どもの頃の便を思い出していただきたいと思います。そこで、重要な「快適に」という目的を目指すのに、この数年で登場した、数種類の新たな抗便秘薬に期待がもたれ、ガイドラインにおいても推奨されています。

 確かに、かなりこれまでの便秘治療は行いやすくなっています。それでも、便通は、食事・ストレス・水分摂取・運動など、日々の生活様式が関係しますので、薬剤を含めて総合的に考えていただきたく思います。