風邪の治療として、安易に抗生物質を使用しないことは、少しずつ認知されるようになってきています。なぜなら、風邪の原因は80~90%がウイルス感染であり、この場合は、抗生剤は効かないからです。
 腎臓にとって、注意すべきは、細菌感染です。また、頻度はすくないのですがウイルスが原因として腎に障害が生じることもあります。もっとも、代表的なのは、これまでも、特集でとりあげてきたIgA腎症の原因の多くが、風邪などの上気道感染です。例えば、上気道炎をきっかけに肉眼的血尿(コーラのような色の褐色尿)をみる場合があります。

 また、発症だけでなく、糸球体腎炎に罹患した後でも感染症(風邪など)などをきっかけに、血尿や蛋白尿が悪化することは、しばしばみられます。したがいまして、腎炎にならないため、仮になったあとも悪化させないために、風邪、特に細菌感染症には注意が必要です。そして、もしも風邪にかかったら、一番の対策は我慢せずに、いち早く、医療機関で適切な治療を受けることです。

 また、上の腎炎の話とは、少し異なるのですが、腎機能が低下した患者さんが、風邪に罹患すると、食欲低下、発熱などによって、尿量が低下し、尿毒素が体内に残存しがちとなり、その上に、解熱剤や抗生物質を使用すると、腎血流が低下した状態では、副作用が出やすくなっており、要注意ということになります。飲食が低下したら、できるだけ水分をとるようにし、それも無理なくらいであれば、点滴治療をおすすめします。