今回は『脂質異常症診療ガイド 2018年版』から、「コレステロール値」をとりあげます。

 まず、コレステロールがからだにとって必要な成分である理由ですが、コレステロールは全身の細胞膜の成分となっています。そのため、不可欠なものであり、さらには、さまざまなホルモン(男性、女性ホルモン、ステロイドホルモンなど)やビタミンDの原料となっています。それ以外にも、胆汁酸の原料となったり、食事の脂質やビタミンの吸収を手助けをしています。

 これだけ重要な成分でありながら、コレステロール自身はエネルギー源として使用されることはありません。そのため、過剰に体内に存在すると、ひずみが生じます。その代表的な問題点が、動脈硬化の病変形成に深くかかわっているという点です。

 動脈硬化が進行する際に、血管の壁に「プラーク」といわれる異常な塊が形成されます。このプラークの形成は、血液中の余分なコレステロールが、血管の内皮細胞の隙間を抜けて、血管の壁に入り込むことから始まります。特に、悪玉コレステロールとして知られる、(主に)LDLコレステロールが増えると、血管壁に入り込むことで、動脈硬化が進行します。この程度がさらに進むと、心筋梗塞・狭心症や脳卒中、足などの血管がつまる病気(閉塞性動脈硬化症)になりやすくなります。

 それでは、体内(血液内)の適切なコレステロールはどの程度かということになります。悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高いことに加えて、高血圧、喫煙、糖尿病、慢性腎臓病、低HDLコレステロール(善玉コレステロールが低い)などがあると、より動脈硬化になりやすくなることが知られています。

 特に、慢性腎臓病自体も動脈硬化の危険因子ですので、コントロール目標値はかなり厳密なものとなっています。『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』では、リスクの低い一般の方では、LDL-C管理目標値は160mg/dL未満なのですが、慢性腎臓病があると120mg/dl未満を目指すことになります。さらには、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)の既往があれば、2次予防となり、LDLコレステロールは100mg/dl以下を目指します。さらに低い値を目標とする場合もあります。

 一般的な健診などでの基準値とは大きく異なる場合がありますので、コレステロールの管理の程度には注意が必要です。それだけ、血管が硬化していく過程に深く関与しているからとも言うことができるでしょう。