「DOHaD仮説」という言葉をご存知でしょうか。まだまだ、一般的には知られていませんが、”Developmental Origins of Health and Disease”の頭文字をとったものです。かつては、胎児プログラミング仮説とも呼ばれていました。子宮内での環境悪化をはじめとした発育期の環境変化による影響が、将来の成人期の疾病発症にかかわるとする説です。

 第二次世界大戦中の1944 年に、オランダの西部地域で発生した食料禁輸措置によって、一時的に摂取カロ
リーが1 日700 kcal に低下したオランダ飢饉がありました。この時期に出生した児を追跡すると、特に妊娠早期に飢餓にさらされていた胎児は、出生後さまざまな疾病の発症リスクが上昇していたことがわかりました。また、中国の大躍進政策による飢餓(1959~ 1961 年)でも、飢餓中に生まれた人は、糖尿病、高血
圧のリスクが上がったとされています。

 状況は異なりますが、我が国でも、低出生体重児が増えています。当初は出生児の約5%でしたが、2017年は9.4%と倍増してきています。原因の一つとされているのが、妊娠時の体形の変化とされています。妊娠前にやせていると、赤ちゃんが低体重になりやすいとの報告があります。この原因としては、妊娠中の栄養摂
取不足、喫煙、妊娠時のダイエット志向なども関係しているとも考えられています。

 2019年のビッグデータ解析では、早産がCKD発症リスクであることを報告したものがあります。早産児はライフコースを通してのモニタリングと早期予防介入が必要であるとしており、高血圧、腎不全になりやすいのですが、その前段階でメタボになりやすいので、未然の防止が重要となります。

 一般的には、一つの腎臓には、血液のろ過装置であるネフロンが100万個あるとされていますが、個人差も大きいとされています。この生まれ持つ、ネフロンの数は出生体重や出生時の在胎期間と非常によく相関することが示唆されています。早産児や低出生体重児の場合は出生時からネフロンが少ない状態からのスタートとなり、身体の成長に伴い、ろ過を十分に行うのに、対応できなくなっていくと考えられます。

 出生時の体重が1kg減ると、ネフロンは約25万個減少するとされており、出生時体重が低かったり、満期産でなかった場合は、この段階からの体重管理や尿検査がとても重要になります。