< https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0085253819310464 >
・・・体内のさまざまな恒常性を担う腎臓の機能低下は、全身において、さまざまな乱れを招くことは自明ですが、今回の報告は、慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)になると、中枢や末梢臓器の体内時計の乱れが生じ、そのことで、睡眠・覚醒パターンおよび血圧、腎機能の昼夜差などが損なわれ、さらに、腎機能を悪化させると発表しました。

 そもそも、CKD患者さんにおいては、不眠症の方が増え、中途覚醒や、睡眠の質の低下、睡眠時間自体の減少などがしばしば見られます。そうしたことから、CKD患者さんにおいては、体内時計(概日時計)の乱れが起きている可能性が指摘されていました。体内時計、つまり時計遺伝子は、腎臓でも24時間の時を刻んでおり、血液からの老廃物の濾過、尿の生成、血圧調節などを制御していることが示されていました。

 しかしながら、CKDと時計遺伝子の関連、さらには睡眠障害との関連については明らかになっていなかった。そこで研究グループは、CKDモデルマウスを用いて、体内時計の変化や睡眠障害について解析を行いました。すると、CKDモデルマウスでは、睡眠の断片化(中途覚醒の増加)、尿の増加などの変化が見られ、中枢時計のリズムを司どる、時計遺伝子Period2(ピリオド2)の発現減弱していました。

 こうした結果から、睡眠の乱れは、こうした体内時計の乱れによるものという可能性が示されました。また、睡眠の量・質とも関連の深い高血圧に関しても、日内リズムの消失がみられ、CKD患者にも認められる、一連の変化を示しています。モデルマウスでは難しいのですが、ヒトの場合は、やはり、日常生活のリズムが乱れないように工夫することが大切だということになると思います。