< https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32051230/ >
・・・細胞移植や臓器移植は、拒絶や癌化、感染症の持ち込みといった危険性がある一方、元々、自分自身の細胞が復活し、機能を回復してくれるのは、理想的な再生医療と考えられます。しかしながら、何も手を加えなければ、再生することの難しい細胞がほとんどです。

 特に、糖尿病は古くから再生医療の実現が待たれていました。特に、インスリン治療が不可欠となった患者さんは、なんとか自分の膵臓からインスリンを分泌させる方法はないものかと、新たな治療法の開発に期待を持ち続けています。

 米国のマウントサイナイ糖尿病・肥満・代謝研究所所長のAndrew Stewart博士らは、β細胞を再生させる薬剤の開発に取り組んできていました。2015年には、彼等の研究グループは、ハルミンという研究用薬品に膵臓のインスリン分泌を担うβ細胞の再生作用があることを発見していました。しかしながら、ハルミン単独でのβ細胞の再生速度はごく僅かでした。それ以外にも、β細胞再生作用のある他の候補薬剤も見つかっていたのですが、副作用が重篤でした。

 このたび、ハルミン単独ではなく、現在、2型糖尿病の治療で既に使われているGLP-1受容体作動薬と併用すると、膵臓のβ細胞の再生速度が速まるという研究結果が公表されました。実用化に少し近付いたとのこと。すでに、用いられている薬剤ですから、安全性も問題なさそうです。

 ただ、膵臓のβ細胞以外の細胞には影響を与えないのか、治療効果の持続期間は、などの検証がこれから必要になってきます。