今回は『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2018』から、「降圧療法」をとりあげます。

 血圧の高い状態が続くと、腎臓が障害されるということは、多くの人が知っているところです。そして、腎機能低下が進行しないように適切な血圧管理も重要であることも広く認知されてきました。特に、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬であるARBが腎保護効果があるという点が一律に広まってしまっていました。

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 確かに、CKDの発症や進行に対して注意すべき危険因子の一つが高血圧であり、腎不全や透析に至るのを遅らせるには、適切な降圧治療や血圧管理が不可欠であることは事実です。しかしながら、この「適切な」という点を、正しくかつ確実に評価する一般的な方法がないことが重大な問題点です。

 盲目的に、CKD患者さん全般に、ARBが適しているわけでもありません。そして、降圧剤の種類はとても多く、患者さんごとに、適切な種類の降圧剤を、適切な降圧目標を達成するために使用し、季節ごとであったり、合併症の程度であったり、他のさまざまな因子も考慮しながら、その都度、調整することが欠かせません。

 わが国では、高齢者が増え、加齢による動脈硬化が腎臓の血流や糸球体ろ過にも影響を与えており、今回のCKDガイドライン2018では、全てのCKDステージの患者に対して、「収縮期血圧(SBP)110mmHg未満へは降圧しないよう提案する」との文言が追加されています。

 腎臓においては、降圧の程度が適切なレベル以下になると、必要な血液をろ過するろ過圧が低下した結果、腎機能のデータが悪化する場合も多く、糸球体内圧に影響を与えるARBを細やかに使用する、あるいは、場合によっては使用を避けることが望ましいということになります。