【Q】
 30歳の女性です。
 10年前頃より、ナロンエースなどの頭痛薬をものすごく頻繁に飲んでいました。最近、検査で GFRが70前後で年齢からすると低いことがわかりました。血液検査では特に高い数値はなく、痩せ型です。この腎臓機能の低下の原因は、やはり鎮痛薬でしょうか。朝起きてからの尿の量もすごく少ないことも心配です。
 今からでも気をつけるべきことなどを教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。

【A】
 約10年にわたり、頭痛薬を頻繁に服用されていたということで、やはり心配なことが、あります。ナロンエースの成分は、主に、イブプロフェンとエテンザミドですが、要注意なのが、イブプロフェンです。イブにも含まれています。ロキソニンの主成分であるロキソプロフェンなど、多くの鎮痛薬には、NSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略)、すなわち、非ステロイド性抗炎症薬が含まれています。
  一般的に、こうした薬剤による腎障害を薬剤性腎障害(drug-induced kidney injury:DKI)として、扱われるのですが、原因薬物のワースト3 は,ほとんどの報告でNASIDs、抗菌薬、抗癌薬で、なかでもNSAIDs は抗菌薬と常に1 を争うほどです。
 どのように、腎障害が生じるかというと、プロスタグランジンH 合成酵素の2つのアイソフォームであるCOX-1とCOX-2を阻害することにより、体内で痛みの原因となるプロスタグランジン(PGs)の産生を抑制することにあります。このうち、COX-1は体内では腎機能の維持に関わっています。詳しくは、腎臓において、COX-1を阻害すると、内因性プロスタグランジンI2およびE2による輸入細動脈の拡張作用を阻害してしまい、腎血流量、ならびに糸球体濾過率(GFR)の低下が起こります。
 簡単に言うと、NSAIDsは一般に、腎臓の血流を低下させることで、腎臓の中の小さな血管の血液の流れが低下してしまい、慢性化すると不可逆的な腎機能低下につながります。対処としては、腎臓に悪影響を及ぼしにくい鎮痛薬に切り替えるのがベターで、どうしても、NSAIDsを服用する場合は、血流低下予防のために、水分をしっかりととることが望まれます。尿量が少なければ、これからでも、飲水を増やすことが、重要です。
 さらに、GFRに関してですが、経時的に低下していると問題です。ただ、痩せ型ですと、筋肉量が少なく、通常の血清クレアチニン値を用いたeGFRの値が正確に得られないことがあります。その場合は、シスタチンCによるeGFRの測定をしてみることが、勧められます。